その日が近づいてくると、楽しみで仕方がなくなってくる。
私は上機嫌で鼻歌まじりにお手洗いのため部屋を出た。

このお屋敷での生活もすっかり板がついてしまった。
最初は、生活のレベルが違いすぎて戸惑っていたモノにも、なんとなく慣れてきてしまっている。




「…るのよ」




廊下の曲がり角、そこで話し声が聞こえる。
なんだか、雰囲気がピリッとしている感じがして足を止めた。




「あなた、最近ずっと交代もせずに付きっきりじゃない。いい加減、倒れるわよ」

「ちゃんと休憩は取ってる。失敗はしない」

「失敗とか、そういうことを言ってるんじゃないの。鹿島の身体を心配してるんじゃない」




話をしていたのは、吉沢さんと鹿島さんだった。
吉沢さんが鹿島さんに詰め寄っている感じのようだ。

でも、話の内容が聞こえてしまうと、吉沢さんは鹿島さんの事を心配しているよう。


そう言えば、私はずっと言われるままにお屋敷に引きこもって入るけど護衛の人は必ずついている。
廊下にだったり、時折様子を見に中に入ることも。