「倖ちゃんも、別に悪い人じゃねーからさ」


恋愛のこととなると、性格が変わっちゃう人なのかな。


私はさっきの倖さんしか知らないから、悪い人にしか見えないんだけど、倖さんと関わってきたピンクが言うんだから、悪い人じゃないのかもしれない。


わかんないけどね。


人生残り少ないし、なるべくイライラしないように、楽しく生きよう。


そう思ってるからこそ、倖さんに対してもイライラしないのかもしれない。


間違いなく、病気になる前の私だったら、〝何、あの人!?〟って思ってたと思う。


「……じゃあ帰るから…」


「あ、じゃあこれ。さっき渡しそびれた鍵」


ピンクから鍵を受け取って、公園を出る。


さっきは中々の修羅場だったな…。


ま、それも人生。


死ぬ前に修羅場体験できてよかったよ。


……って思っておこう。


じゃなきゃやってられないや…。