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怖かった。
話すことが。
話す勇気がでなかった。
出ないまま、私は冷の家から出ていった。
今日はちゃんと学校に行く。
蒼汰に謝らなきゃいけない。
昨日1日はすごく長かった。
蒼汰と遊園地に行ったのが遠い日のように感じる。
「行ってきます、お母さん」
いつぶりだろう。
この言葉を発したのは。
「いってらっしゃい、愛」
いつぶりだろう。
この言葉を聞いたのは。
昔からお母さんの方が家を出るのが早かったから、何年もこの会話はしてなかった。
たったそれだけの会話なのに、すごく心が温まってぽかぽかするんだ。