「それが俺と親父にバレたとき、あの女は〝本当に好きなのは貴方なの〟とか言って親父に泣きついた。


親父はそれにコロッと騙された。


あの女は、親父の財産目当てで親父と結婚したんだ。


だから、アイツは、浮気がバレた後、すぐに親父を殺そうとした。


未遂に終わったけど、それから親父は狂い始めた」


これ以上聞きたくなかった。


冷がどんな思いをして生きてきたのか、それが痛いくらい見えてしまうから…。


「殺されかけたショックで記憶喪失。


見事に俺のことも、本当の母さんのことも忘れてた。


今も記憶は戻ってない。


もちろん、あの女のことも忘れてた」