あの子はいつも一人だった。
虐められているわけではない。自らクラスの子たちと距離を置いているのだ。その理由はあの子と私にしかわからない。

 あの子は腰まで伸びる奇麗な黒髪と、透き通るような白い肌、真っ赤な血の色がした唇は周囲の人間を狂わせた。

 あの子が小学生の時、一人で帰っていると知らない男の人に連れ去られ、人には言えないことをたくさんされた。そのことは今でも彼女を狂わせている。そのことで人間という生物がとても怖くなった。

 あの子は高校生になった。町で声をかけられて今は読者モデルになった。人間が怖い彼女にとって人の集まる仕事現場など、恐怖でしかないのだけれど、お金が欲しかった彼女は感情を押し殺して、表情を明るくかわいいポーズをした。

 あの子は学校も、仕事の日以外はちゃんと行っている。学校に行ってくれるのはうれしいことだが、あんなことがあったのになぜ学校に行けるのかわからなかった母も、彼女はあの事を忘れてしまったのだと最近そう思えるようになった。

 ただ、そんなことはなかったのだけど。