「……泣いてんの?」



「……泣いてないし」



「泣いてんじゃん」



ふっと笑って生嶋くんは立ち上がると、あたしの目の前まで近付いて来た。




「アンタ、ほんと泣き虫だよな。
そんなんじゃ、東條が心配するよ?」



「──別に……っ、もう、関係ないもん。
……別れた、し」



さっきまで笑っていた生嶋くんの表情が、驚いたような表情に変わった。

……知らなかったの、かな。




「それ、ほんとに言ってんの?」



「……冗談で、こんな面白くないこと言うわけないでしょ」



皮肉を込めてそう言うと、生嶋くんはまた軽く笑って「確かに」と声を漏らす。


そのままあたしから離れると、生嶋くんはフェンスに寄りかかってため息をついた。