「……蘭、大丈夫?」



「……ん、平気」



縁の言葉に適当に返事をしながら、あたしも歩き出した二人に背を向けて教室の中に入った。

いつも騒がしい教室の中が、嘘みたいに静か。


どこか居心地が悪くなり、あたしはもう一度教室の外に足を進めた。



そのまま、たどり着いたのは屋上。
外に出ると、冷たい風が頬に触れた。



「……寒……っ」



一瞬ブルッと身震いがしたけれど、入り口のドアを閉めて奥に向かって歩く。


一番奥に設置してある、タンク室の屋根に登る梯子に手をかけた。
梯子のひんやりとした冷たさが、手に触れる。


一番上まで登りきり、そのままその場にゴロンと横になった。




「……雨、降りそう」



あたしの、心みたいだね。