自宅に帰ると今度は、妹と弟の世話に追われた。

「これからご飯だから明日ね。
ほら、すぐに出来るから片づけて」

夕食の支度をして、その後も
お風呂に入れて妹達を寝かしつけた。

「お姉ちゃん。絵本読んで」

「はいはい。じゃあ、お布団に入って」

私は、『シンデレラ』の絵本を読んであげた。

このお話は、意地悪な継母や義姉達にイジメられ
貧しい生活を送りながらも
魔法使いのお婆さんに助けてもらい
素敵な王子様に出会うお話だ。

読みながら私は、この王子様は、
社長に似ているように感じた。

ただシンデレラは、私ではない。

助けてくれる魔法使いのお婆さんは、居ないし
ガラスの靴もカボチャの馬車や素敵なドレスもない。

現実の地味な私には、
夢のまた夢の世界でしかないのだ。