学校から少し離れた公園。
美陽と楽は悠琉に言われてベンチに座っていた。
悠琉は、

「飲み物買って来るから待ってて」

と言って走り去っていった。
美陽と楽の間に気まずい空気が流れる。
楽が俯きながら美陽に聞いた。

「…あの人と、付き合ってるの?」

自信のないような声で、美陽は声に出して頷いた。

「うん、本当は今も信じられないけどね」
「人気者?」
「そうだよ。だから、信じられないのかもしれない。初めてあの人に会ったとき周りの人達が騒いでいたから」

でも、と美陽は続けた。

「お母さんにね、挨拶してくれたの。私は怖かったけれど、悠琉さんが傍にいてくれたから怖かった思いはどこかに飛んでいった」

美陽は照れくさそうに言う。
楽は呟くように声にした。

「おばさんも認めた人…」

美陽はこくりと頷いた。