「それと持ってますって艶。自覚ないだけで。ねぇ? 森さん」


「はい! もっちもちですよ。第一にイケメン副社長が新郎なんて出まくりますよ。そりゃもうお持ち帰りしたくなるくらいに」


……飛躍しすぎじゃない?

是非ともしてほしい~って思うのは、有り得ないってわかってるから。

朝の柔らかな光が射し込む部屋に明るい笑い声が広がると同時に、ノック音が響いてくる。


「失礼します」


開いたドアの先には、思わず息が止まりそうなほどに凛々しい袴姿の先輩。

私が、口を開いたまま見惚れていると、先輩もドアを開けたままマジマジと見つめ返してくる。