「どうした?」


「……天使が、私達ふたりを祝福してくれてる」


先輩一色の私は、幸せ一色の光の海を漂う気分で微笑みながら彼だけを見つめる。

ありったけの愛を込めて強く真っ直ぐ見つめ続ける。

先輩は、そんな私に可愛い男の子のような天使の笑顔で私を見つめ返すが、コロッと表情を変える。

その悪戯っ子のように笑う顔は、まさに小悪魔の笑顔。


「初めて東京-ニューヨークの飛行時間が半日以上で良かったと思ったよ。おかげで気力体力共に超万全体制。朝までなんて余裕起きてられるけど、100Mダッシュとなると……何本イケる? 経験ないから未知の世界。……チャレンジしてみてもいい?」


「……」


素直に睡眠不足解消出来て良かったと安心したのはほんの一時、チャレンジの意味がわからず???

今から100Mダッシュ?