「あの時から美愛は、俺の中で特別な存在になった。同時に辛く苦しい日々の始まりでもあった。親友の好きな子なんて胸に秘める以外選択肢はない。こんな不毛な恋なんて早く終わらせたい。そう思ってた矢先、あいつが告るって言い出したんだ。あの雪の日、帰る少し前に二人で煙草吸いながらこう言ったんだ。『失敗したな……助手席禁止令出しときゃよかった。そうすりゃ海まで諦める事なかったのに。……ごめん。俺、美愛ちゃんち着いたら告る。で、綺麗サッパリ忘れるからクリスマス二日間、二人で失恋飲み会しよう』って」


ずっと忘れられずにいたあの日あの時あの場所で、先輩の心も動いていたなんて……。

初めてほのかな期待を抱いたあの日、私達の想いはひとつになっていたなんて……。

でも皮肉なことに別れへのカウントダウンの始まりでもあったんだね……。