あんな奴に彼女を幸せに出来るはずない。俺のが、絶対に大切に出来る、大切に想ってる。……俺が、幸せにしたい。いや、絶対にする。俺が、美愛ちゃんを幸せにする!いつの間にか本気で誓うほど、美愛の存在が大きくなってる事に気付かされた。何年も美愛に俺の事を秘密にしたのは、後戻り出来なくなるのが怖かったから。あの頃よりずっと女らしく綺麗になった美愛に笑顔を向けられた瞬間、俺の心は走り出してしまう。きっと止まらない。どうしようもなく欲しくて堪らなくなるってわかってた。でも遠距離恋愛なんて有り得ないと知ってたし、結婚したいのも知って
たからさ。 けど時は満ちた……そう感じたからモデルも頼んだ。美愛を奪う為に帰国もした。それと本社に戻る為の話合いもしたくてさ。……案の定、京都で再会した時から俺の世界は動き始めた。俺自身が驚くまでに。……実は、部屋空いてたんだ。少しでも近付きたくて嘘付いた。もう一度ふたりきりで話したかった。大学の時、一度だけ美愛が助手席に座った事覚えてる?」