「特に社会人になってからはそんな余裕なかったし、普通の子は結婚願望あるじゃん? 前話したけど、俺全くなかったからさ。互いに自立して自由に生きてる上で、愛し合ってるなら一緒にいればいいじゃん。そう思ってたから。でもそんな俺を理解してくれる子なんてそうそういないし、捜すまでの情熱もなかった」


ふと窓ガラスに映る先輩を見つめると、私を包んだまま煌めくイルミネーションを見ながらも、その目はどこか遠い日の記憶を辿っているように見える。

その表情は、どことなく切なさが滲んでいるように見えて、私の胸もキュッと切なさに掴まれる。