……美味い! 最高!

目の前には、最上級のハイスペック男子の甘い微笑み。

左には、京都の夜景。

最高! の一言しか思い当たらない。


「結婚……したの?」


まさに夢見心地で先輩と夜景とお酒に至福の時を堪能していると、先輩から低い固めの声が聞こえてきた。

その目線を辿ると……私の左薬指。


「あ、違います。これ会社からの支給品の指輪で、サロンスタッフ全員してるんです。その方が、お客様が安心されるからって」


すると先輩は、納得顔で頷いた。

そして笑みが零れるのを、ホッとした? な~んて一瞬でも思うのは、勘違いも甚だしい。

実は、この指輪……私がきっかけというか原因。

半年程前に偶然、高校時代に振った彼の担当になった時のこと。

打ち合わせで何度も顔を合わす間に彼が私への想いを再燃、婚約破棄に至り私まで巻き込まれてエライ目に合った。

彼が、やたら一人で約束してない日に来ると思ってたら、口説くは仕事終わりに待ち伏せするは告白されるわで参った!

挙げ句の果て新婦から、私が彼に色目使ったと因縁付けられたし。