痛っ! ……何?


「……いってぇ」


ふたり揃って唇に手を当てながら、また車内は静寂を取り戻す。

この痛みは、先輩の瞳だけでなく、唇にも宿っていた怒りが爆発したように感じられた。


「……あ、静電気……」


「違う。俺の怒りと嫉……」


先輩は、まだシートに手を掛けたままぶっきらぼうに答えるが、途中で黙り込みサッと目をそらした。


しっ? ……怒りとしっ……嫉妬?

やっぱり嫉妬なの?

先輩に嫉妬してもらえるなんて、これ以上の快感なんてないかも。

嬉しい……嬉しすぎる!

それに一瞬とはいえ……ヤバい!

顔がニヤニヤしちゃう。