「何でそんなに怒ってるんです? 確かに課長のこと好きでした。でもそれは、昔の……」


その時緩やかに速度を落とし、どこかのパーキングに入って行くのに気付いた。

そこは、公園のパーキングのようで、先輩は入口から一番奥の他車から離れた所に停めると、シートベルトを外し私を鋭い目で見てくる。


「……マジわかんないの? ……なら教えてやるよ」


それは、言葉ではなかった。

助手席のシートに右腕を伸ばすと同時に先輩の端正な顔が傾きながら近付いてきた。

そして目の前の尖った唇が、驚き目を丸くする私の無防備な唇を奪おうとした瞬間、バチッ! と
音を立てる。