「もしかして余計な事した?……指輪落としてさ。
……邪魔しちゃった?」


「邪魔なわけ……ナイスタイミングです」


そう答えると、"ほんとかよ?"って顔してまたチラ見してくる。

そして黙り。

本当に困ったな……

出来る限り早く安川様の実家に伺いたいけど、こんな気まずいままじゃ嫌。

私は、心の中で超気合いを入れ、出来るだけ普通に話し掛けると決めた。


「あの……いつから二階に?」


「……覗いた時、君は泣くのを必死に堪えてたようで、すぐに課長に抱き締められた」


……ってことは、告白から全部聞かれた。

思わず溜め息を吐いてしまうが、すぐ我に返り口を塞ぐ。

先輩は、そんな私に冷めた視線で溜め息返しをしてくる。