恥ずかしくて手の甲で鼻の辺りに手を当てると、目を丸くした先輩と視線がぶつかり凄い勢いでそらしますます顔が熱くなる。

先輩は、超驚愕顔で力強く否定するが、ニヤニヤ帰り支度をする姿に更に大きく息を付いている。

支度を済ませ立ち上がったお母さんは、先輩の真ん前から実に楽しそうに首を傾げて覗き込む。


「だから違うって。泊まってたらこんな格好して寝てないだろ? ひとりで着替える力もなかったんだよ」


泊まってなくても、普通薄手の白いセーターにレトロな花柄フレアスカートでは寝ない。


「私と初対面だからって、気を使わせたわね。海、早く着替えさせて汗拭いてあげて。体が冷えて悪化するといけないから。じゃあ私は、失礼するわ。お大事に」


「……ありがとうございました」


多大なる勘違いしたまま笑って片手を上げるお母さんに、私は唖然とお礼を言うことしか出来ずにいた。