大きな大きな建物。
錆びれていて大きな災害が起これば今すぐにでも壊れてしまいそうな建物。
人はもうほとんど住んではおらず、すこし、いやかなり品のなさそうな不良がちらほらいる。
そんな建物。そこに住む少女。
まだ小さい…小学五年生くらいだろうか。
だが大人の話は理解出来てくる頃だ。
すこし茶色がかった綺麗な長い髪。
白く透明感のある肌。
だけどその肌には青紫色の痣、赤黒い傷が残っている。
少女は泣いていた。ひどく悲しんでいた。
少女は錆びれた建物から飛び出した。
ボロボロのサンダルをはいて。
ボロボロの大きなリュックを背負って。
走って走って走った。
ああ、少女は気づいた。
今は夜だ。空にはたくさんの光がある。
私はどうして輝けないんだろう。
少女はまた泣いた。
誰もいない野原の中で……。