「そういえば、美羽は部活どうするの?」




ピンクの小さめのお弁当箱をしまいながら、愛里がそう言った。


急に話題が変わったので、頭がついていかない。


私も急いで残っていた玉子焼きを口に放りこんでから、え?と聞き返した。




「部活、私はテニス部って決めてるんだけど……

美羽は運動苦手だから無理でしょ?」




目の前が真っ暗になる。


まさか愛里が運動部に入るなんて思ってなかった。




「え……愛里、部活入るんだ?」




「うん、そのつもり

美羽は?どうする?」




学校から家までの距離は約一時間。


電車で一本、乗っている時間は30分くらいだけれど、駅から家までの道のりも30分くらいだ。


当然、登下校は愛里と一緒にするつもりだった。


本当は電車じゃなく自転車で行ける学校にしたかったけれど、愛里が一緒だからとこの学校にしたのだ。


もし、愛里が部活に入れば、一人で帰らなくてはならない。


だからといって自分も部活に入るほど、運動は得意ではなかった。