(し、しまった!)


記憶が蘇ったことですっかり忘れていたが、ついさっきまで私は、横柄で厚顔無恥なワガママ娘だったのだ。

ただでさえ初対面の少年に暑苦しく構い倒した女である。それが急にしおらしくなってみろ。浮かぶ言葉なんて一つしかない。





【なんだこいつ】


(や、やべえええ! こんな幼気な男の子にそんなこと思われたら、お姉さん生きていけないよ!!)


暫く茫然としていた少年だったが、はっと気が付いたように現実へ戻ってきた。おかえり。



「い、いえ! お気になさらず! 僕は全然気にしていないので!」

彼の言葉を素直に受け取っておく。ここまで言われたら、否定なんて到底できない。




「あっ、挨拶が遅れてごめんなさい。僕はロナルド・テイラー。あなたは?」
「私は……」

彼もといテイラー君が軽く自己紹介をしてくれたので、自分も返そうとした。けれど、名乗ろうとして、やめた。