朧気な記憶を呼び覚まし、目を開けると第一に見覚えのない天井が目に入った。
「あれ……」
ここはどこだ。私は、さっきまで何をしていたんだっけ? 考えて数秒後、すぐさま記憶の蓋が開かれ全てを鮮明に思い出す。
(……そうだ。人生で一番とも呼べる恥を晒したんだった)
何という事だ。私は知りもしない少年に、イケメンだからという理由で近づき、勝手に転んで前世を思い出し、ぶっ倒れたのだ。
なんて迷惑極まりない行為だ。前世の記憶などない子供だったから、では済まされないレベルの問題行動である。
それこそ消しゴムで消してしまいたい気持ちだ。
知らない部屋で一人、最悪だと悶えているその時、ガチャリと音を立ててドアが開いた。
「あっ、目が覚めたんですね!」
入ってきたのは、この度多大なるご迷惑をおかけしてしまったあのイケメンだった。