中学時代の思い出。
授業中、目が覚めるとそこにはいつもあいつがいた。
物心ついた時には気づいていた。俺があいつを❝好き❞なんだってこと。
ただの幼馴染では留まれない感情を抱いているんだってこと。

俺、西城夏樹(さいじょうなつき)は今年高校生になる。幼馴染、今原明日真(いまはらあずま)と共に青春を過ごそうと思う!



明日真と夏樹が出会ったのは保育園年長さんの夏。まだ、明日真が心を閉ざしていたとき。
明日真が東京から引っ越してきて、夏樹が一番初めに声をかけたのだった。
「お前、なんでそんなに暗いの?」
クラスのムードメーカー、所謂活発だった夏樹からすると、明日真の前髪の長さといい、なんというか暗い感じが、夏樹は許せなかったのだった。

「そ…そんなこと言われても…」
そう口ごもる明日真の前髪を、夏樹は突然上げてしまった。
明日真があぁっと声を上げ、手でカバーしようとするが、当時から身長が高く、行動の活発な夏樹には到底勝てるはずもない。

…と。
夏樹は息を呑んだ。
まぁ幼いながらの心にして、彼の美しさに惹かれてしまった。…いや、惚れてしまった。
しかも、「かっこいい」じゃない。「かわいい」だ。

西城夏樹と今原明日真、この二人の純愛は、きっとこの、夏樹の一目惚れから始まっていたのだった。