初恋は甘酸っぱい味がするとよく言うけれど、本当にそんな味なのかな。私の初恋はきっと涙の味だった────。

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高校3年の春、私は世界で一番好きなあなたに初めての恋をしたんだ────

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『新社会人におすすめ!!』
『新しい生活スタートしよう』
『花粉症対策にこの1粒!』
通い慣れた駅前には、過疎化が進んでいながらも春らしい人々の活気が少しだけ感じ取れるポスターや新商品のポップなどが、薬局やスーパーの前に並んでいた。
「春は大好き!」
だって、と心の中で続けた洒落っ気のない少女はその地元の高校の制服を風に揺らされながら上の方を見上げた。
(桜がこんなにも綺麗に咲くんだもの)
見上げた先には満開を少し過ぎた桜が見える。高校の近くにこんなに立派な桜があるなんて、それだけで幸せだと感じてしまう私は少し単純なのかな。
通い慣れた道を早い足取りで進んでいくとすぐに校門が見えた。