「小坂先輩っ!」

入学式の日に、中庭で会った小坂先輩だった。

「アンタって、サボるだけじゃなくて、遅刻魔なの?」

相変わらず気だるげ。

「え、あ、いえ!たまたま可愛いネコがいたので、つい…」

えへへと笑ってごまかすわたし。

先輩の言ってた通り、そろそろ遅刻しそうだからと、ネコを話そうとしたら、ネコの爪がわたしのワンピースの胸元に引っかかって、離れない。

「わ、どうしよ…ごめんね、ネコちゃん。ちょっと爪を引っ込めてくれるかな……?」

伝わるわけもなく、ニャーンと鳴くだけ。


「ったく」