高校の入学式、俺はひなと似たような境遇の女子に会った。
黒髪ロングで、綺麗な顔立ち。
美人と呼ばれる部類に入るだろう。
体育館のど真ん中で、耳を塞いでうずくまっていた。
その女子の周りには、同中と見られる女子たちが集まっていた。
「また同じだねー!」
「よろしくね!」
「仲良くしてね!」
普通に話してるだけかと思ったら、明らかに囲んでる女子の顔が怖い。目が笑ってない。
過去に見たことのある表情だ。
___ひなをいじめていた、あの女子たちと同じ表情___
いてもたってもいられなくなり、俺はうずくまっていた女子に手を差し伸べた。
その子は、とても泣いていて、頬が涙で濡れていた。
その時、ひなを助けたかったという後悔と、ひなにもこうして手を差し伸べていたら どうなっていただろうかという気持ちが、俺の心にズシリと残った。