入学式会場で、真っ青な顔をして、うずくまって泣いてた子がいた。

すぐに ひなちゃんだと分かった。

もしかしたら、中学生の頃のトラウマを思い出したのかもしれない。



高校の入学式でのことを思い出した。

たくさんの女の子に囲まれて、愛想笑いで「よろしくねー!」とか「仲良くしてねー!」とか。

同中の子たちが結構いたから、すでに広まっていたのだろう。

その場に立っていられなくなって、耳を塞いでしゃがみ込んだ。

いつも近くにいてくれた幼馴染みが ちょうど席を外していて、どうしたらいいのかも分からなくなっていた。

そんな時に助けてくれたのが、近藤だった。

「大丈夫?」

そっと手を差し出してくれた。