「日向、危ないっ…!」
え、ひなた危ない?ん?ふと、そんな声が聞こえ不思議に思い前を向くと……ドンッ!!
あ、倒れる!!そう思った時、ぶつかった勢いで尻もちをついてしまった。
「いった……え、あ、すっ、すいませんっ!!」
コケて気がついたこと、それはぶつかった人が先輩だったこと。
どうしよう、先輩にぶつかっちゃったよ…
「え、あ、ごめんっ!
今の完全に俺が悪いよな?
俺、前見てなくて…ごめんな?」
先輩にまさかそんなことを言われるとは思わず、固まってしまった私に先輩の周りにいた友達は
「おい、日向!お前のせいで女の子がコケてしまったじゃねぇかっ!!
こんな可愛い子に怪我させるなよ!」
日向という先輩を含めた坊主頭をした人たちの中で2番目に声を発したこの人は、三人の中でも身長が低い。
あの、私失礼かもですけど可愛くないですよ?
驚きのあまり声を出せずに心で返していたら、もう一人の先輩が言った。
「そうだよ、日向。立てなくなったりしたらどうするのさ。俺ら、日向のせいにするかな?」
え、この先輩おしゃれだなって思ってたときに発したこの言葉により、おしゃれだと思ったのは無かったことにしようと思った。
だって、私が怪我したら日向先輩のせいにするんだって?
え?みんなで責任取らないんだ??
「雷、お前っそんな言い方はないだろ?」
と、日向先輩が突っ込みまた私に話しかけてきた
「あの、こんなこと聞くのおかしいかもだけど、名前何て言う?
俺は、藤井 日向だ。その隣の背の低いやつは海斗、そしておしゃれに制服着こなしてる違反しそうでしないこいつは、雷だ。」
「俺は、背低くない!お前らが高いだ『俺は、違反してなんかないぞっ!』…」
あ、二人とも被っちゃったよ。
そうだ私の、名前言わなくちゃ。
「私の名前は、上田 葵です。先輩、ぶつかってしまってすいません…。」
「あぁ、いいよ! それよりさ、葵いきなりだけど何か部活には入るの?」
怒られるっ!そう思っていたのに、返ってきた返事は予想と全然違うことだった。
「え、部活ですか?部活は、今はマネージャーをやろうかと思っています…。」
「マネージャー?!じゃあさ、野球部に入らない?野球部は、俺らみたいなやつばっかりだけどめっちゃ楽しいし、きついけどその分やりがいがあると思うんだ!」
マネージャーという単語にすっごいみんな反応した 笑
きついけどやりがいがあるのか。
いいかも!でも、野球よく分からないからな…
「野球、私よく分からないんですけどそれでも…出来ますか?」
野球のことを知らないって知ったら、諦められてしまうかもととても怖かった。
でも、やっぱり先輩たちは私の予想を遥かに超える返事を返してくる。
「ルールとか分からなくても俺が教えてやる!大丈夫、俺が何とかしてやるよっ!」
自信満々で答えてくてた日向先輩に、私は"ついて行ってみよう。この部活で頑張ってみよう。"そう思えた。
「私、野球部のマネージャーになってもいいですか?
日向先輩の言葉を信じて頑張ってみようと思います。」
すると先輩たちは…
「ほんとにかっ?!やったな!!」
『「よっしゃー!」』
3人ともものすごく喜び、それでも雷先輩と海斗先輩はやっぱり言いたいことが被る 笑
「これから、よろしくお願いします。」
そう言って、野球部との練習の毎日が始まった。
正直、きつくてもうやりたくなくなったり逃げてどこかへ行きたいときもあった。
それでも、逃げずに頑張れたのは部員や先生のおかげだと思う。
部員、先生みんなありがとうございます!
そして、今日は日向先輩たちの高校野球の最後を決める日がやってきた。
勝ち続ければ甲子園出場の可能性、負ければそこで高校での野球は終わる。
私は、まだ終わりたくはない。
まだ、たくさん教えてもらいたいことやみんなと笑い合いたい。
"みんなと笑い合いたい、まだ終わりたくない"
そう思うのは、そのに居る誰しもが思っていたことだと思う。
そして、いよいよ試合開始の時間。
緊張が高まる中、みんなの緊張を解してくれたのはやっぱり日向先輩と雷先輩、海斗先輩だった。
"俺らは、ここで高校での野球人生を終わりにしたくはない。でも、必ずしも勝とうとは言わない。俺らの出来る限りの精一杯のプレーでこの野球人生を締めたい。だから、最後までこのメンバーで頑張ろうぜ。
泣くのはまだ早いからな!よし、行くぞ!!"
「『おぉー!!!!』」
泣いたと言うより、泣き真似をした海斗先輩。
みんなが団結した所で試合は始まった。
1点、2点と相手に点数が入って今は相手は5点。
私達は0点…。
それでも、みんなは諦めなかった。
そして奇跡は起きた、9回の表Ⅰアウト満塁のとき牽制も沢山ある
そして、バッターは日向先輩、一塁は雷先輩、二塁は海斗先輩、三塁は善先輩。
ピッチャーが投げた球、それを引っ張りライトスタンドへ…見事ホームラン!!
私達の高校は、9回の表で一気に4点入り逆転その後も、1点入り相手と同点だ。
そして、時は流れ9回の裏Ⅱアウトランナー二塁。
ここまで点を入れさせないよう頑張った。
相手の次のバッターは、宮西くん。
5回の裏でセンターフライを打ってアウトに人だ。
そこで私は監督がみんなに掛けた言葉を思い出す。
"大丈夫いつも通り、お前達は今まで頑張って来た。だから、最後まで精一杯出来る所までやるぞ"9回の裏が始まる前監督が、そう声をかけみんなを落ち着かせる。
"頑張れ!"私も、監督のあとに続けて言う。
みんなは笑顔で頷く。
そして、円陣の中キャプテンが言う。
"勝負はあと少しで終わり。
勝っても負けても悔いの残らないよう精一杯やろう。行くぞっ!!"
""おぉーーーーー!!""
そのことを思い出し、今みんなが考えてることはきっと同じ。
悔いの残らないように努力すること!
そして、宮西くんが打った。
センターへのホームランだった。
2点追加され7点、
最後に2点逆転され私達は負けた。
でも、部員の顔は清々しかった。
学校へ戻った後のミーティングで日向先輩たちは、"精一杯のことはやれた。来年は、2回戦もしくは、それ以上行けよ!"
そう私達に言った。
そして、私達は答える。
""絶対にその約束叶えられるよう頑張ります!""、と。
ミーティングも終わり、本当に先輩たちが引退なんだと実感したときだった。
「あおいー!!!」どこかから呼ばれたのだ。
私は慌てて声のした方を探した。
すると、そこに居たのは入学してすぐに会った時から今までずっと1番お世話になった先輩たちが居た。
「こっちに来ーい!」
そう日向先輩に呼ばれ、私は部室棟まで走って行った。
そしたら、3人から私の名前と高校の名前が入ったタオルを貰った。
嬉しくて、でももう一緒に部活がほとんど出来なくなると考えると涙が溢れてきた。
それを見た先輩たちは、私に「ありがとう、俺らのマネージャー。葵は、あと一年間ある。俺らが居なくなって一人で大変かもしれない。でも、いつでもどんな時でも頼っていいからな。遠慮なんかするなよ。ありがとう葵、俺らにとってはものすごく大切な存在だったよ。」
そんなこと言われたら、ますます涙が止まらなくなった。
「私も、先輩たちと出会えてよかったです。
あの時、会えてなかったらこんないい思い出は出来ることがなかったと思います。ありがとうございました!!」
最後のお礼は、泣いてるけどそれでもとびっきりの笑顔で言った。
そしたら、3人とも「おう!」って返してくれた。
そして、『雷先輩と海斗先輩は俺ら戻るな!』そう言ってグラウンド戻って行った。
日向先輩と二人きりになり、少し時間が立った時だった。
「いいマネージャーだったよ。
でも、俺が葵をマネージャーにした1番の理由はあのぶつかった時俺、お前に一目惚れだったんだ。知らないだろ?笑」
『そんなの知るわけないじゃない笑』
日向先輩とは、二人の時だけ敬語じゃなくて普通に話そう。と前に言われたので敬語で話すのはやめた。
「だよな笑 それで、俺はそばに置いておきたい。 だから、マネージャーにならないか?って誘ったんだ。 なぁ、葵俺の名前と葵の名前繋げたら何になると思う?」
『え、それって日向と葵を繋げるの?』
「そーだよ。」
『あ、ひまわり?ひまわりって、向日と葵って書くよね?』
「そう、かっこよくないか?二人を繋げたら向日葵。正式に言うと、俺の名前を反対にしなくちゃいけないけどな笑」
『あ~、言われてみればそうだね!笑』
「うん笑 ………で、俺さお前のその笑顔大好きなんだ! 俺だけの笑顔にしてもいい? 葵、俺が好きだって言ったらお前は困るか?」
いっとき間が空いて言われた言葉に私はびっくりした。
だって、日向先輩への想いは片想いだと思っていたから。
でも、両想いだった!!
『私も、初めて会った日から日向先輩に一目惚れなんだよ。
でも、私ずっと片想いだと思ってた笑
先輩、好き。 私から言っちゃだめなんだろうけど、それでも好き。』
「なぁ、葵俺と付き合ってくれないか?」
『ねぇ、答え知ってて聞くのやめてくれない?笑 私、おっけーしか出すつもり無いから。笑』
「言うと思った笑 これからは、俺がお前をどんな時でも守るからな。 俺、お前にベタ惚れだって自分でもわかるくらい重症だ笑」
『前から重症でしょ?笑 大好きだよ先輩、日向これからも好きでいさせてね。』
「あぁ。」
あれから、グラウンドに戻りとりあえず雷先輩と海斗先輩に付き合うことになったと報告し、そして一番の友達の亜美にも報告した。
亜美は、ものすごく喜んでくれてとても応援してくれているみたいで嬉しい。
ありがとう、亜美。
出会わせてくれてありがとう、神様。
END.
このお話を読んでくださった皆様、ありがとうございました!
私は、短編を書くのが初めてで内容を上手くまとめることが大変でした。
しかし、これから少しずつ短編を書いてみたいと思います。
これを読んでいただき、本当にありがとうございました!