家に着いて、いざ鍵を開けようとしたら鍵がなくて…
ほんっと…ついてないや。
玄関ドアの前でペタンと座り込んだ…
『澪春?』
向かいの二階の部屋から俊稀があたしを呼んだ…
「俊稀…ひくっ…ひくっ…」
『なんで泣いて…って、いいから上がれ』
家が向かい同士の俊稀…
きっと、向かいから自転車を止める音が聴こえたのだろう。
玄関ドアが開いて、俊稀はあたしの腕を引っ張った。
涙で視界がぐしゃぐしゃで…
『バカ…』
俊稀の家に上がらせてもらうと、俊稀はタオルをあたしの頭に乗せて、あたしを抱き寄せた。
『何があった?』
「ひくっ…ひくっ…」
その声はすごく優しくて…
俊稀の匂いで落ち着いていく…
俊稀…こんなに大きくなってたんだ。
背も…背中にあたる手のひらも…
近くにいたのに、全然気付かなかった…