俊稀はあたしの頭を優しく撫でてくれた。
『俺はお前が好きだから、ずっと側にいる。
ただ、それだけだ』
そう真っ直ぐみつめられて告げられた瞬間、瞳から熱い涙が頬を濡らした。
『って、泣かないんじゃなかったのかよ?』
「だって…俊稀が…うぅ」
『ったく、しゃーねーな』
俊稀の指が頬に触れる…───
親指の腹で涙を拭ってくれて、あたしを心配そうな顔で見る。
『大丈夫か?』
「うん…ごめんね。
それから、ありがとう」
涙を拭い切ると、俊稀は笑って残り5個あるケーキをみつめた。
『あいつには、苺のショートケーキやるか』
俊稀はお皿の上に苺のショートケーキを載せて、冬汰の写真の前に供えた。
静かに両手を合わる俊稀は、きっと心の中で冬汰に何か話しかけているんだ。
今まであたしがお供えをしても、俊稀が自ら進んで何かを供えたことはなかった。
だからこうして両手を合わせる姿もなかなか見なくて…