あたしも、夏翔のように笑えるかな?


冬汰が好きだって言ってくれたあたしの笑顔のように、笑えるかな?



『だからさ、兄貴の代わりに澪春さんが泣いても泣く度に宥めてやっからよ…元気出せよな?』


「…澪春でいいよ?
頼もしいよ、夏翔!」



笑おう…。


初めは上手く笑えないかもしれないけど。


あたしには、俊稀がいる。

依知花がいる。

夏翔がいてくれる。


あたし、笑うよ…冬汰。


たとえ、涙が頬を濡らしても…前を向く!


いつまでも立ち止まってたら、冬汰があたしの嫌いな雨ばっかり降らしそうだもん!


だからさ、笑っててよね?

ずっと、空の上から…



『澪春…』


「うん」


『…っあ!俺、敬語も使ってなかったよな…わりぃ!いや、すみませんでした…』



慌てて両手を合わせて謝る夏翔がおかしくって、笑ってしまった。



「ははっ、何よ今さら!
あたしはそんなの気にしないから、今のままでいいよ?」


『…なら、遠慮なく』


「それに、頭髪直したら?あと、ピアスもね」



そっと、夏翔のピアスに触れる…


耳に穴を開けてまで付けたがる理由があたしには理解し難い。


見てても痛いし…



『なっ…それは…考えとく』


「で、ちゃんと学校行ってるの?」


『たまにしか…それに夜中まで遊ぶ時も…あったりなかったり』


「夜中まで!?
ったく、ちゃんと学校に毎日来なさいよ?」



冬汰と違って不真面目だな…



『だって、授業が簡単すぎんだよ』


「…は?」


『テストも普通にこの前学年でトップだって言われた』


「なっ……兄弟揃って」



頭がいいとか!?!?


何たる羨ましいことだ。


恐らくギリギリで受かったあたしには理解に苦しむ。