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澪春へ

勝手に居なくなって、ごめん。
病気のこと、寿命のことずっと黙ってた。だって会う度に、澪春に惹かれる自分がいたから。どうせ俺は死ぬのに、なんでって思った。突き放そうと思ったあの雨の日、お前に酷いことを言った。その日はすぐに自分が言ったことに後悔した。もう二度と会えないかもって。でもまた会えて…。そこからはもう、ただ一緒に居て欲しくて。ずっと隣で絵の完成を見ていたくて。お前に触れたくて…。でも抱きしめることすら恐くて。それに澪春が泣いた日は辛くて、もう泣かせねぇって決めたのに。

デート…誘えなくてごめんな。俺はずっと、澪春に会うことを生きる理由にしてた。

俺が生きるために犠牲にしたのは、澪春のことを好きな気持ちだ。

死ぬまでずっと恐くて言えなかった。

でも、死ぬ前に澪春の気持ちが知れて良かったよ。



「え?なんで?」



そのまま手紙を読むと…



お前が寝た時、こっそり絵を見た。だからその…裏面に残したからさ。俺の一番伝えたい気持ち。

言いたいことありすぎて、やっぱり手紙じゃ伝えきれねぇな…

たとえ、涙が頬を濡らしても…
立ち止まらずに、前を向けよ。
俺の分まで泣いたり、笑わなくてもいいから。
俺はお前の笑顔が一番好きだから。

あと、美術の先生になれよな?
澪春の夢は俺の夢でもあるから。

そして、いつか愛せる人が出来たら…
いっぱい幸せになれよ。

…てか、お前の気持ち溢れ過ぎ!



いっぱい嘘ついてごめん。
出会ってくれて、ありがとな。



汐留 冬汰




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