SEI~イケメン4人組と私のカンケイ❤~



ーアーちゃん。


俺の初恋の人。



お互いにアーちゃん、セーくんって呼んでたから名前は憶えていない

けど、俺にとって特別な存在だったことに変わりはない。



7歳のとき、母親に連れられて俺の家に来たアーちゃんは、可愛らし

くて、でも簡単に崩れてしまいそうで…



守ってあげたいって、思った。



その日から俺の家に住むことになったアーちゃんははにかみ屋さん

で、何を聞いても答えてくれなかった。


だから俺は、そんなアーちゃんが俺に何でも話せるようになるよう努

力したんだ。



そして、ある朝。



「…セーくん…///」

聞きなれた声が聞きなれない言葉を発しているのが聞こえて、俺は振

り返った。



そこには、顔を真っ赤にしてうつむいているアーちゃんがいた。


「えっ…」


アーちゃんは真っ赤な顔をあげて、照れたように笑った。



「へへっ…///『桐谷くん』は堅苦しくてやだから、『セーくん』にし
ちゃった…///」



その天使のような笑みに、恋に落ちたんだ…。

・・・・・・・・・

******************************

・・・・・・・・・




ピンポ~ン



緊張しながらチャイムを押す。


「はーい♪」


中から、アーちゃんの母親が出てきた。



「これから1ヶ月間、よろしくお願いいたします」



俺はきちんと挨拶をした。

…おっと、自己紹介を忘れていたな。



「あっ、自己紹介遅れてすみません。桐谷 晴です」



あら~晴君!これからよろしく~♪などと1人で喋っている母親に適当

に相槌を打ちながら部屋の中を見回してみると、奥の方で呆然として

俺をじっと見つめている藤澤と目が合った。



…藤澤?



「あれ、藤澤?」



思わず声が出た。

なんでお前がここにいるの?



「ここ、藤澤の家?俺、これから藤澤と暮らすの?」



藤澤。お前が『アーちゃん』なのか?

ふと、入学式のことを思い出した。


藤澤を見て、確かに俺はアーちゃんに似ていると思った。



あの時の俺の直感は、正しかったんだ…










「なんでハルが同居人なの⁈あたし、絶対認めないんだからっ‼‼」


藤澤が騒いでる。


「もう決まったことなの、仕方ないでしょう」


藤澤の母親は娘をたしなめると、俺に向き直った。


「晴君、愛音とお友達?」


友達じゃな~い‼と抗議する藤澤を無視して、俺はお得意の営業王子

様スマイルで答えた。


「友達っていうかですね…クラスメートです」


すると藤澤の母親は、とんでもないことを口にした。


「へぇ~。見た目仲良さそうだし、大きくなったら家に来てもらおうかしら。愛音のいい旦那さんになりそ…」




「「はあああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!??????」」



俺たちは思いっきりハモッた。


「ねえお母さん、ハルはやだよ。絶対やだよ。1人で留守番できるか
ら、今すぐにこいつを家に戻してよ、ねえ…」


あたしがお母さんに懇願していると、


リリリリン♪


電話が鳴った。



「もしもし?」



よそ行きの声でお母さんが対応する。



電話の間、あたしはこの5分間の間に起きたことを一から思い出した。



まず、ハルが同居人になった。


…この時点であり得ないことしてるんですけど、お母さん。



そして、ハルに「愛音のいい旦那さんになりそう」と言った。



あたしの大っ嫌いなハルに、「旦那さんに」とか頭狂ってるでしょお

母さん!ふざけるな!←母親にそんなこと言っていいのかなぁ~?
「せ~い君♪」



ウキウキのお母さんがハルに声を掛ける。


「はい……?」


引きつった笑みのハル。


そりゃそーだよ、お母さんちょっと…いやかなり、不気味だもん。



「あなた、小さい頃愛音を預かっていてくれた家の息子さんでしょ?
愛音がセーくんって呼んでた」



するとハルは、いきなり目を輝かせた。


「そうです‼覚えていてくれたんですか?」

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