急に聞こえてきた彼女の声に、俺は思わず進めていた足を止めた。


渡良瀬ちゃん、今、俺のことバカって言った?
なんかの聞き間違い、じゃねーよな…。


窓に映る渡良瀬ちゃんを見れば、少し拗ねたような顔の彼女が目に入る。


こりゃ、またなんか抱え込んでんな…?


俺は彼女の暗い顔に確信してから、ゆっくりと近づいて行って一言、声をかけた。


「……俺が、なんだって?」