その違和感が、青葉も不安を煽るのか、まだ驚いている雪兎の額に触れたりしていた。
「…あ、うん。そっか…私、急に動けなくなって…」
「動けなくなった?」
「……青葉、ごめん。直矢も、なんか急に体が重くなって気絶したんだと思う」
急に口調が元に戻る。
驚いた様子も収まって、いつもの雪兎に戻る。
でも、怖かったのか、わずかに震えている手を握ると、更に震えが大きくなる。
自分が震えていることに気付いたんだろう。顔色まで悪くさせる雪兎は、青葉にすがるように抱きついて、何度も深呼吸を繰り返す。
息を乱さないように、心臓が早く鼓動を刻まないように、ひたすら、ゆっくりと気持ちを落ち着かせる。
雪兎が、好きなように生きるために、幼少期から身につけてきたメンタルコントロール。
最近はこんな様子になることなんてなかった。