亜紀と櫻子は、いつも柑菜から涼の話を聞いているせいか、本人を前にした時のこの微妙な距離感に、少し違和感を感じる。
特に櫻子にとっては、その距離感がとても気持ちの悪く感じた。
「あ、どうぞ、座ってください」
立ったままの2人は、涼の言葉に従って再び椅子に座った。
「じゃあ、俺部屋行くわ」
リビングルームを出ようとする涼に
「少しみんなで話すのもいいんじゃないかしら」
と、涼の言葉に重なるように、櫻子はそう提案する。
「そうだね、涼座りなよ」
柑菜にも同じように言われた涼は、とりあえず鞄を部屋に置いてくる。
そして戻って来た涼は、4つの椅子のうち空いている1つの椅子に腰かけた。
そこは、櫻子の向かいの席であった。