「それで、結局その日は会うことできなかったの」
「あら、残念ね」
「また次チャンスがあったらその時話しかけよう!」
金曜日のあの日の出来事の報告を一通り終える。
今日は珍しく、3人は柑菜の家に来ていた。
人が2人増えると、家の雰囲気は一気に明るさを取り戻す。
柑菜も、心なしかいつもよりも笑顔が多い。
3人で紅茶とクッキーをお供に話に花を咲かせていると、扉の開く音がして涼が帰ってくる。
「あれ、友達?」
リビングルームに顔だけ見せる。
「うん、一度だけ会ったことあるでしょ?」
涼は、櫻子と亜紀の顔を交互に見ると、思い出したのか「ああ」と声を上げた。
「姉がお世話になっています」
そして、3人のいるリビングルームに顔だけでなく身体も入り込んだ。
2人は、わざわざ椅子から立ち上がり、涼に向って一礼をする。
涼もそれにつられて、お辞儀を返した。