柑菜は、どうしたらよいか分からずに、黙ってしまう。
沈黙が、リビングに流れて、なんとも居心地の悪い雰囲気が漂う。
そのとき、その沈黙を破るように涼が口を開いた。
「ケーキ屋となんか関係あるわけ?」
「きょ、協力してほしいの!」
「協力?」
双子の2人の仲は、悪いものではなく、むしろ周りから見たら仲の良い分類に入るであろう。
それは、当の本人同士もそう感じてはいるし、それに対して嫌悪感を抱くこともない。
しかし、恋愛はそれとは違う。
「多分、そこのケーキ屋のオーナーなんだけど、私まだ話したことなくて、涼から少しでもいいから世間話してほしいなって、男の人同士なら不自然じゃないでしょ?」
柑菜は、2人からのアドバイスを自分なりの言葉で涼に伝えた。
「べつに、男同士じゃなくてもいいと思うけど……」
涼はぼそっと面倒臭そうにそう呟く。
「そうなんだけど、ねっ、お願い」
そんな涼に、手を合わせてお願いをする柑菜に、涼は渋々返事をした。
「分かったよ」