事実のことに反論できない柑菜は、何も発せずに、じっと涼の目を見た。
「ねえ、ケーキ屋行った?」
とりあえず、ケーキ屋に行ったのか行っていないかを確認する。
「まだだけど」
それを聞いて、一安心する柑菜。
「そう……一緒に行かない?」
「まあ、いいけど」
ここまでの会話は難度1で、誰でも乗り越えられる。
問題はここから先の話で、しかし柑菜は未だに涼に打ち明けるかどうかを悩んでいた。
「ねえ、涼は……その……好きな、人、いる?」
歯切れの悪い柑菜を、怪しい目で見る涼。
「なにいきなり。つか、今までそんなこと聞いてこなかっただろ」
「まあ、そうなんだけれど」