柑菜は、家のソファに座りながら考え事をしていた。
涼に、恋のことを話すかどうか、である。
櫻子と亜紀の提案どうり、もし2人でケーキ屋に行っても、涼がなにも話しかけなければ2人で行く意味がない。
でも、話してしまうのもどこか躊躇してしまう。
しばらく考え込んでいると、涼が帰宅した音が聞こえた。
「お帰り」
「ただいま」
外から帰ってきた涼は、喉が渇いているのか冷蔵庫からオレンジジュースを取り出して柑菜の隣に座りながらそれを飲む。
柑菜はその涼をちらちらと見つめた。
分かりやすく横目で見てくるその視線に気づき、柑菜から少し距離を取る涼。
「なんで逃げるの?」
逃げる涼の腕を柑菜は掴んだ。
「ちらちら見てきて気持ち悪いからだろ」