「決めてたこと?」

「うん」


不思議そうに眉をひそめた怜佑にこくりと頷いて、あたしは確かめるように目を閉じる。



『怜佑に告白する!』

つい1週間程前のことだけど、あれから色々あった。

幼なじみの関係に悩んで、変わりたいと思って。

それからやっぱりやめようって迷って、なずなに勇気づけられて。

こんなにもずっと自分の気持ちが揺れ動くのは初めてだった。


──でも今またこうやってほら、向き合おうとしてる。


「あたし、今年こそはバレンタインに好きな人に想いを伝えるって決めてたの」


もう逃げない。

しっかりと噛み締めるように言うと、目の前の瞳が少し大きく開かれたように見えた。


トクン、トクン。

静かな廊下に伝わってしまいそうなあたしの心。

緊張だってしてるのに、わくわくの方が大きいのは気のせいかな。


──すうっ。

大きく息を吸って。



「あのね、怜佑。あたし、ずっと前から──」