「ごめん。あの……ちょっと時間ある?」


代わりにそろりと尋ねると、怜佑は少し斜め上を見てから口を開いた。



「……あー、俺に言いたいことあるってやつ?」


……え?


「覚えててくれたの?」

「そりゃな。そのために捜しとってんから」

「そっ、か」

「……あとまー、あれや。この雪やし? 傘入れてもらわなあかんからな」

「怜佑……」


……もう。

ほんっと、アンタってヤツは。


「あのね」


今なら言える。

突如そんな自信が全身を取り巻いて、拳に力を込める。


そして──。


「あたしね、少し前から決めてたことがあるんだ」


真っ直ぐ前を見据えた。