「……ありがとう。あたしは大丈夫」

「ならよかったわ」

「……っ」


不意に向けられた心配そうな目に、ドキリと心臓が跳ねる。


……どうしよう。


さっきまで会えなかったせい?

今の怜佑、いつもよりかっこよく見えて──。


「てかなぁ、ちゃんとスマホくらい見ろや。俺、お前のこと捜しとってんで」

「え?」


感動に浸る間もなく、落とされたのはそんな呆れた声だった。

すぐに確認すると何度も怜佑からスタンプが送られてきてた形跡があって。


「あー……ごめん」


それどころじゃなくて、スマホの存在忘れてた。


「靴箱行ったらまだ靴あるし。やのにどこにもおらへんし。走り回って大変やってんからな……」


……そ、そうだったの?


ぶつぶつと唱える怜佑に、ただただ目を丸くするあたし。

いつもならここで何か言い返してただろうけど、今はそんな気分じゃなかった。


だって、こんな真冬に汗まで浮かべてあたしのこと……。


それがあまりにも嬉しくて、言い返すことなんか忘れちゃったんだ。