……なんで?
なんでいないの?
なんで見つからないの?
どうしよう。
もしかして入れ違った?
もう帰っちゃった?
……やだ。
どうしよう。
どうしようどうしよう……っ。
突として押し寄せてきた不安と共に、目の前がじわっと滲んだ。
「……っ」
あたしは溢れてくるそれを親指で拭い、キッと前を向く。
弱気になるな。
ただ進むしかないんだから。
「……っ、はぁ」
2階も3階もダメだった。
ここまで来たら、4階へ行くしかない。
足も体力もだいぶやられてるけど、そんなの別。
……お願い。いて。
少しだけ息を整えてから、あたしは祈るように再び走り出した。