「やべー、めっちゃ雪降ってる」


え?

その時どこからか聞こえた来た声に、ふと顔を上げた。


……ほんとだ。雪、酷くなってる。


さっきまでパラパラと降っている程度だったのに、いつの間にか外は天気予報通りの景色になっていた。


どうりで寒いわけだ。

身体に身につけた防寒具もカイロも最早気休め程度。


──もう、帰ろっかな。


……っ、ダメダメダメ!

脳内にふわっと浮かんだそれに、あたしは慌てて首を振った。


パシッ。

両頬を軽く叩いてもう一度気合いを入れ直す。


『自信持って』


……そうよ。

あたしには、なずなの言葉がある。なずながついてくれてる。


大丈夫。

頑張れあたし。

気持ちで負けるんじゃないっての!


あたしは自分を鼓舞するように心でそう唱えると、ぎゅっと拳を握りしめながら立ち上がった。