「音無? どうしたん」

「梓先輩、滝川先輩連れて行ってもいいですか?」

「えっ、うん」


妖艶な瞳に捕らえられ、勝手に口が答えていた。


「では滝川先輩、ここじゃあなんなので、ちょっと来てもらえます?」

「お、おう。いいけど」



──ドクン、ドクン。


通り過ぎていくその姿に心臓が激しく脈を打つ。


……これから、怜佑に告白するんだよね。



『美保ちゃん、お互い頑張ろうね!』


ここに来てようやく、カッコつけてた自分を呪いたくなる。


……馬鹿だなあ、あたし。

全然平気じゃないじゃん。


美保ちゃん可愛いし。

怜佑が〝うん〟て返事したら?


わかってたことなのに、想像と現実じゃわけが違う。