「ちゃんと口で言ってよ!」

「やから、しゃーないから今年ももらったるって言っとるんや」


今年ももらったる……あっ!


「もう、そういうこと? あたしのチョコが欲しいなら欲しいってちゃんとはっきり言いなさいよ」

「ばっ! そんなんちゃうわ! 教室戻ってきたら城崎にお前が俺のこと捜しとったって聞いて、あぁ多分そういうことやろな〜って気ぃきかせてやったんやろ。それにほら……あれや、前に〝実験台になる〟って約束したし?」

「へーえ、覚えてたんだ。……ちょっと待ってね、今……」


──はっ!


って、あたしのばかーーーっ!

違う違う。今年は違うんだってば!

なにいつものように渡そうとして……!!


「え、えっとぉ……」

「なんやねん」


どうしよう。


こんな教室のど真ん中で公開告白なんてムリに決まってる。

今日は短縮授業だからお昼までで帰れるし……。

やっぱり放課後、誰もいない時に渡すのがベストよね?


「怜佑のは──ひゃっ!?」


言いかけたあたしの言葉は、驚きと共にどこかへ消失した。