「滝川なら、さっき女子たちに連れていかれたぞ」
「え!?」
う、うそでしょ……。
「ありがとう、城崎くん」
背後から教えてくれたクラスメイトの彼ににこっと笑いかけるも、あたしのテンションはダダ下がり。
だって女子たちって、そういうことでしょ?
怜佑は口が悪いけど、黙っていればカッコイイし背も高くてスポーツだってできちゃう。
おまけにその口の悪さも、仲良い人に対してだけ発揮されるだけで、外面の良さは天下一品。
モテる要素はありありなんだけど……。
やっぱり複雑。
『義理チョコいっぱいもらったわ〜』
なんて、毎年毎年嬉しそうに抱えられたチョコに、あたしがどれだけ悩まされてるか。
怜佑は〝義理〟だって言い張るけど、そんなの全部が全部義理チョコなわけないじゃん。
……気づかないのもアイツらしいと言えばらしいけどさ。