「〝そんなこと〟ちゃうって! 最悪や……」
「大丈夫よ。大雪降ったらあたしが入れてあげるから」
そう言って、腕にかけた傘をアピールする。
すると途端に怜佑の眉間にきゅっとシワが寄って。
「……どうしたんそれ?」
「え?」
と視線の先を追うと、ぶつかったのは傘と同じ腕にかけた紙袋。
友チョコに義理チョコ、バレンタインのお菓子がたくさん入ったそれだ。
作った数が多すぎて鞄には入らなかったから、怜佑の以外はこっちに入れて持ってきたんだよね。
……っていうか怜佑のやつ、今日が何の日か気づいてんのかな。
「今日そんな荷物多かったか?」
「えっと、これは……バレンタイン、の」
うわーーー。
あんまり怜佑の前でその話題出したくなかったけど、嘘つくのも変だし仕方ない。
そう思って正直に答えたあたしだったんだけど。